ハースストーン Tips

A Note on the Hearth

ハースストーンプレイヤーの備忘録

負け筋のケア

海外有名プレイヤーThijsのプレイ録画から、ある1戦を紹介したいと思います。

Thijsの使用デッキはホーリーラスパラディン、対戦相手の使用デッキはミッドレンジハンターです。

相手のデッキリストの詳細は分かりませんが、動画内での使用カードからおそらく画像のようなリストだと思われます。

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参考リスト

 

このパラディンは現在の環境ではプレイングがかなり難しいデッキに分類されると思います。私も使用したことがないので理解は浅いです。

しかし、この動画では逐一カードを切る理由を説明しながらプレイしてくれているおかげで、ゲームの展開においていかれるということはありませんでした。

他のデッキにも応用のきくプレイがいくつか見受けられたので、共有できたら嬉しいです。

以下、解説のようなネタバレが続くので、バイアスなく動画を見たい場合はぜひリンクから。これ以下の文は読まなくてよくなるほどいい動画です。

youtu.be

以下の画像は全てこの動画から切り抜いたものです

 

Thijsは一貫して、ドローを進めながらダメージを最小限に抑えるプレイをしていきます。

序盤からThijsのプレイが光りますが、この試合の大きな分岐点は動画の7:00からのターンであると思います。

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このターンは、平等+聖別で盤面を空にできています。マナをフルに使い切ることのできる動きですし、非常にきれいなプレイに思えます。私ならこのプレイを選択しています。

しかし、Thijsはそのプレイをしたとき、自分のライフが7になっていることを嫌いました。7点というのは、ハンターが殺しの命令+ヒーローパワーで容易に出せる点数なのです。2枚はケアできないところまで追い詰められているので、1枚だけでもケアする方法を模索します。

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そこで、カードゲームの鉄則「先ドロー」をしたところ、タイムを引くことができたのでこれを使って凌ぎました。

 

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もう1点、9:15からのターン、パラディンにはいくつか行動の選択肢があるように見えますが、Thijsはその中からミニオンをボードに出さずにスペルによってドローする事を選びました。理由は、前のターン相手がヒーローパワーのみ押してエンドしていることから、相手の手札には猟犬を放て!がありそうだと読んだからです。これを腐らせることで、相手に殺しの命令を5点で使用される可能性を減らしました。このターン3枚引いておけば、次の自分のターンが回ってきた場合確定リーサルです。

 

結局、Thijsの危惧した通り相手は殺しの命令を1枚手札に抱えていましたが、ケアしていたことによりリーサルは取られず、返しのターンで勝利することができました。

ちなみに、このゲームでThijsはトップデッキにかなり助けられているようにみえます。確かにそうですが、一度視点を変えてみたいところです。Thijsはこのゲーム中に多数のドローカード、サーチカードによりデッキを圧縮し続けました。これにより、ゲーム中に必要なカードを引ける可能性、あるいは既に引いている可能性が高まっています。ですから、必要なカードをトップで引けてもおかしくなく、むしろぎりぎりのタイミングまで引けなかったことが不運であるとまで見ることができると思います。

 

この動画から得られるものはたくさんあると思いますが、その中から上述の2点をまとめます。

1つ目は、1枚目の切り抜きから、ライフ管理です。今回の相手はハンターだったので、ハンターの持つ代表的なバーストである殺しの命令圏外のライフをなんとか維持しています。

むやみにライフを守る必要はなく、特にウォリアーやzooウォーロックは手札から打点を出しづらいので、盤面からの打点を耐えられるくらい残してライフで受けるというプレイも有効に働くことがあります。相手のデッキタイプに合わせて柔軟に動くことが求められます。

 

2つ目は、3枚目の切り抜きから、相手の手札の予測です。上の参考リストから見るに、ミッドレンジハンターには9マナ以上のカードは入っておらず、デッキタイプから考えても予想されるのはズルジンくらいです。よって、上の切り抜きの前のターン、相手はカードを意図して使わなかったか、もしくは条件を満たしておらず使えなかったということになります。

意図的に使用しないであろうカードは殺しの命令です。万が一除去に使う展開が想定されるので、リーサルターンまで隠しておくのが定石です。

使用に条件のあるカードは、大自然の報復猟犬を放て!凄まじき狂乱翼の暴風です。どれも盤面にミニオンがいないために使用できないカードです。

このほかに、殺しの命令を5点にするための低マナの獣を保持している可能性も考えられます。さらに、相手目線からトップでもう1枚の殺しの命令を狙うとなると、シャヴァーラを使ってリーサル圏外までヒールされてしまうためミニオンをプレイすることは悪手になるので、展開を控えたのかもしれません。

この中で、パラディン側が干渉できるカードは猟犬を放て!でした。最後までプレイされなかったので、本当に猟犬を持っていたかはわかりませんが、おそらくミニオンの展開を控えたプレイは功を奏しているでしょう。

ここまではっきり予想できなくとも、まだ1枚も使われていないカードについて考慮するだけでも有意義です。ただし、どこかのタイミングで使わせなければいつまでも窮屈な動きを強いられてしまうため、被害が大きくならない程度に割り切ることも時に必要です。

 

加えてもうひとつ。Thijsは愛されキャラなようで、よくチャット欄でいじられています。今回のゲームでも、敗色濃厚な場面でチャット欄から「敗北宣言しよう」だとかいじられていることがThijsの言動からわかります。私もチャット欄同様、ライフ7まで追い詰められた場面で半分諦め、手なりのプレイをしていたと思います。しかし、Thijsはそのような場面でもきちんと考えを巡らせ、勝ちへの細い糸を見事たぐり寄せてみせました。これは彼の強みであり、見習うべき姿勢です。

 

今回は、私が最近見た動画の中から白熱したものをピックアップしましたが、このような動画は他にも無数にあります。外国のプレイヤーのものが多いですが、日本人プレイヤーによるプレイ動画もたくさんあります。他者のプレイを見ることは、自分のプレイを裏付けたり、プレイングの伸び悩みを打開するきっかけになったりすることがしばしばあるため、お気に入りのプレイヤーを見つけて動画や配信を見るのはとてもおすすめです。

英語圏のプレイヤーの配信には言語の壁を感じるかもしれません。しかし、ゲームの話で使われるような英単語は限定的で、視聴しているうちになんとなくでも意味が分かるようになってきます。英語が母国語ではない配信者もいるため、分かりやすい英語で話してくれていることもあります。思っているほど壁は高くないので、覗いてみて欲しいと思います。

上記のリンクの動画は、Twitchというサイトでの配信の切り抜きです。長時間配信をしている配信者も多いので、全編見てみたい方はTwitchのサイトからビデオを探してみてください。YouTubeには上がらない負け試合も見ることができ、より深く学ぶことができます。