ハースストーン Tips

A Note on the Hearth

ハースストーンプレイヤーの備忘録

手なり / 長考

カードゲームは基本的にターン制で、それぞれのプレイヤーには持ち時間が与えられます。

時間のかかり方は、プレイヤー、使用デッキ、局面によって様々です。しかし、持ち時間の使い方について概して言われることがあります。熟練プレイヤーからのアドバイスとして、手なりプレイ、つまり深く考えることなく流れでプレイすることはよくないということが言われます。また、いちプレイヤーから対戦相手への不平として、無駄(に思えるよう)な長考は避けてほしいというものもよく耳にします。

持ち時間の使い方については、プレイヤーの置かれている状況や感性に大きく影響されるため、はっきりとしたラインを設けることは難しいです。ここでは一般的に手なりや長考と呼ばれるようなプレイに対しての現時点での私の考え方を書き留めておこうと思います。

 

 

私は、どちらかと言えば手なりプレイの方を好みます。

過去記事でも再三書いたのですが、私は自分の使っていないデッキの感触や、回しているデッキの別の側面を知るために、よく配信視聴や観戦をします。このとき見るのは、よりプレイの早い配信者のゲームを好む傾向があります。自分の思考速度より少し早いくらいの速度で進んでいくゲームの方が心地よく感じるからです。当事者より傍観者の方が思考の余裕があることを加味しても、私は比較的結論を出すのが早いようです。

 

なぜ早くプレイすることを好むのかというと、端的には時間を節約するためです。

時間を節約する方法には、このように自分のプレイ速度を上げる方法と、早い勝利プランを持つデッキを使用する方法があります。

後者の方法をとると、環境に合っていないデッキタイプの中から使用デッキを選択しなければならない可能性があります。モチベーションを余計に損ねないためにこれは避けたいです。

ここ数シーズン分の環境を見ると、速いデッキのパワーは抑制されている傾向にあると感じます。デッキ外リソース補給手段が豊富にあることも考慮すると、ゲームが長引いてしまうのは必至です。長時間化したゲームで、毎ターン真摯に向き合っていると、負けてしまったときの徒労感が非常に大きくなります。これを解消するために、自分のプレイ速度によって思考に割く「リソース」を調整しています。

早いプレイとは、何も考えずに雑な行動を取ることではありません。もちろん練度の低いデッキを使っているときや、対峙した経験が少ない相手とのマッチでは時間をかけるターンが多くなります。

時間を短縮できるのは、慣れたデッキでの見慣れた局面においてです。特にゲーム序盤は取れる選択肢がそれほど多くないので、勝ちパターンや負けパターンを覚えるのは容易です。自分に有利な運びとなるパターンを覚えれば、あとはそのパターンに当てはめていくだけなので、その都度考える必要はなくなります。

手なりプレイとは別ですが、何も考えないプレイもありだとは思います。何も考えないプレイはその時点で悪手ですが、悪手を打つことがすなわち悪いことではありません。プレイミスをして負けても失うのは自分の勝ち星くらいで、それは取り戻せますし悪いことはありません。

よく言われることですが、プレミはきちんと自覚して次回改善すれば、成長の機会を与えてくれるものとなります。何も考えないプレイ、いわゆる脳死プレイの場合は、結果が好転しても悪化してもその理由を後付けすることができます。次回のゲームからはその理由に沿って方針を立てられるため、実体験に基づく根拠の明白なプレイを重ねていくことができます。

よくないのはプレミを自覚せず責任転嫁し、上達の機会を逸してしまうことです。この意味で、脳死プレイは自覚しやすいプレミであるため、むしろ自分にとって有益なプレイであると言えるかもしれません。

 

普段のゲームでは長考しないように心がけていますが、長考することも苦手ではありません。特に他のプレイヤーと一緒に遊んでいるときは、そのターンのベターなプレイを話し合うのにロープ一杯時間をかけることもざらにあるので、きちんと考えようとすればそれくらいの時間をかけることが必要なのかもしれません。

しかし、長考することには少しばかりリスクも伴うと思っています。ここからはオカルトじみた話になります。

自分のターン時間を目一杯使用するということは、相手にもそれだけ思考時間の猶予を与えてしまっていることになります。私が実際に自分の行動を相手のターンを使って考える事が多いため、なおさら一理あるのではないかと思っています。

これは特に相手がロープを出したときにはっきりと差が感じられます。相手はロープによって制限時間ぎりぎりまで考えていたことを自覚し、急いでプレイを間に合わせようとするため、よりミスのしやすい状態を経ます。対してこちらは、相手の思考時間と同じ時間だけの猶予があった後に自分のターンも迎えるわけなので、相手の足りなかった時間の分だけアドバンテージを得られることになります。

 

また、闘技場のゲームで特に顕著ですが、自分の手番を長引かせず終えることでしばしば相手を自分のペースに飲み込むことができるように思います。

ハンターやメイジを使っている時がわかりやすいですが、特に時間をかけることなく淡々とフェイスを叩いていくだけで、相手が早々にコンシードすることがあります。「圧」で勝った、等と茶化したように言われることも多いですが、これはあながち間違っていないように思います。

構築戦と違い、お互いのデッキリストは不明なので、バーンダメージを持っているかは分かりません。しかし、意味ありげにフェイスばかり詰められることによって、相手はバーンダメージの存在を意識し始めます。すると、中には半ば諦めたように雑なプレイになる人や、リーサルが確定したわけではないのに悟ってコンシードする人がいます。私もよくやります。この経験から言うと、そのような試合の中にはトップデッキやRNG次第でなんとかなりそうだったものも少なからずあります。長考を避け、プレイ速度で相手を圧倒することは、相手が人間であることを逆手にとってこのような可能性を潰すことに繋がる有用な盤外戦術であると思います。

 

 

私自身が速度のついたプレイを好むこともあり、今回の記事では手なりのプレイを推すような内容が多くなりました。それは本意ではなく、持ち時間の使い方はその人のプレイスタイルによって自由に決められるものだと思います。

私は好みによって無闇にプレイ速度を上げているつもりはなく、経験に頼って無理なく思考をショートカットした結果、素早いプレイになっているのだと思っています。

これを機に、気になった方は自分と異なるプレイスタイルをとってみるといい経験になるのではないかと思います。自分のプレイスタイルに対する理解がより深まるかもしれません。