ハースストーン Tips

A Note on the Hearth

ハースストーンプレイヤーの備忘録

ハイランダーデッキ

ハイランダーデッキとは、同名カードを2枚以上入れずに全てピン挿しすることによって構成されたデッキのことです。

ハースストーンでは、レノ・ジャクソンを初めとして、ハイランダーデッキ(厳密には山札に重複するカードがない状態)であることを条件に能力を発動するカードが度々刷られてきました。これらを軸にデッキを組まれることもしばしばあります。

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ハイランダーデッキは、多様なカードの採用により飽きない試合展開を期待できる反面、重複採用のあるデッキと比較して不安定さが目立つと言われます。この「ハイランダーデッキは安定しづらい」という言葉を履き違えるプレイヤーが少なからずおり、ハイランダーを事故前提のデッキと捉えるような声すら耳にすることがあります。私はそういった声になんとなく違和感を抱いていました。

この記事では、思考整理を兼ねてハイランダーデッキの特徴を自分なりにまとめていきたいと思います。

 

 

ハイランダーデッキの特徴

ハイランダー - デュエル・マスターズ Wiki

ハイランダーデッキについて調べてみた中で、この記事が一番私の解釈に近く、詳しく解説されていると感じました。ハースストーンとはルールの異なるカードゲームですが、概ね同じことが言えると思うので、以降この記事の内容を踏まえて話を展開していきます。

 

マナカーブは標準的

そもそも、ハイランダーデッキが事故を起こさずオンカーブで動いてくるだけで理不尽だという声を聞いたことがあります。これは明らかに歪んだ考え方です。

ハイランダーデッキはコンボ要素を取り入れづらく、1枚ごとのカードパワーで戦うデッキとのことから、ミッドレンジをベースに組まれることが多いでしょう。現環境であればハイランダーハンターが典型例です。殊ミッドレンジデッキはマナ通り動くことを理想ムーブとするデッキで、それができるようにマナカーブが整えられているため、こちらもそれを前提に動かなければなりません。

 

2Tに特定のピン挿しカードを引けている確率は、25%程度。4試合に一度引けるくらいの確率です。毎試合2Tにフェルモーを置かれると、自分が下ぶれているように感じるかもしれませんが、あくまで確率です。当てにならないのは多くのプレイヤーが気付いていることと思います。油断していて対応できないということのないよう、ある種悲観的なプレイを心がけていきたいです。

 

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ハイランダーハンターのサンプルリスト

 

特定のカードへの依存度が高い

わざわざ構築を歪めてハイランダーにしている一番の理由は、ハイランダーカードの効果を起動させるためです。デッキの構築に制限をかけるカードなだけあって、その効果は絶大です。引いてプレイできた試合と引けなかった試合では勝率に大きな差が出るでしょう。場合によっては、ハイランダーカードを引くまでひたすら耐えるだけという戦術も成立するほどです。

 

互換性の低いカードは制限の影響をもろに受ける

例えば、ハイランダーハンターのフェアリードラゴン酸性沼ウーズのように、ミニオンであれば似たようなスタッツのカードを積むことで動きを補完することができます。

しかし、猟犬を放て!のように多くのスペルは個性的な効果を持っており、ピン挿しにしなければならない制限の影響を強く受けます。

また、ハースストーンでは山札が30枚と比較的少なく、ドロー効果の価値が重くみられているため、ドロー効果はクラスカードのスペルに割り当てられている場合が多いです。

カードプールの狭いスタンダード、さらに言えば最もプールが小さい時期であるスタン落ち直後は、互換性のあるカードが少なく、ドローソースが不足しがちです。これではドローソースにアクセスする機会も乏しく、ドローから別のドローソースへとチェインする可能性も低くなるため、デッキの回転が著しく悪くなります。必然的にトップデッキへの依存度が高くなるので、ハイランダーデッキの不安定さの一番の原因はここにあると思っています。

 すなわち事故が起きやすいのではないか、とも思えますが、私としては区別がついています。

ミッドレンジデッキは、デッキ構築段階でマナカーブを美しく整えられているため、動きに詰まることはありません。問題は、手札が増えないために選択肢が少ない事がしばしばあることです。つまり、5T目に5マナのミニオンを置けないことはほとんどありませんが、無貌の変性者がベストの場面でそれを引けていないためにロットネスト・ドレイクをしぶしぶプレイしなければならない場面が出てくるということです。融通の利かなさは感じますが、私はこれを事故とは捉えません。

 

ノロック

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ここから具体的なハイランダーデッキに目を向けていきます。

上のリストは、ハイランダーカードであるレノ・ジャクソンを軸に組まれた、最初期のレノロックのリストです。ナーフを受けたカードがあるため、コストなど当時と全く同じではありませんが、雰囲気はつかめるかと思います。

私は実際に回していたわけではないため、仮想敵が分からず、大雑把な回し方しか把握できないのが残念です。

 

リストから、このデッキの勝利プランは複数存在することが読み取れます。

 

アグロ相手であれば、除去をしながら手札を整え、レノのプレイを転機に攻守逆転を狙うというのが理想的な勝ち筋でしょう。

 

コントロール相手であれば、ヒーローパワーを駆使しながらコンボパーツを集め、手札が整った段階で一気にたたみかけるのがメインの勝ち筋かと思います。

具体的には、凄まじき力リロイ・ジェンキンス無貌の操り手をコンボパーツとして、いずれかが手札にある状態でソーリサン皇帝によりコストを下げ、然るべき時に放出すれば(リロイ+凄まじき力無貌の操り手のコンボによって、2(4+6)点つまり20点のバーストダメージを出すことができます。これを基本形として、鬼軍曹闇の売人産のPOを合わせたりすることでバーストダメージをもっと伸ばせます。中盤のミニオンによる打点やアレクストラーザを使えば、相手のライフを無理なくワンショット圏内までもっていけます。

 

また、各マナコスト帯にはマナレシオのいいミニオンが採用されているため、引きが噛み合えばそれらを使ってビートダウンというサイドプランも取れそうに思えます。

 

このデッキが当時活躍できた要因は、なんといってもヒーローパワーの強さでしょう。

ハイランダーデッキの抱える回転の悪さという弱点をカードを使用することなく補えるというのは、まさにハイランダーにうってつけのヒーローパワーだといえるのではないでしょうか。

主にこのヒーローパワーのおかげで、ハイランダーとは相性の悪いといわれるコンボパッケージの採用も可能になっています。コントロール相手であればライフタップによる自傷ダメージもさほど気にならないため、驚くほどの噛みあいの良さを感じます。

 

レノクエストメイジ

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現在ワイルドフォーマットで使用できるレノメイジのリストです。

ワイルドともなると、過去に発売されてきた膨大な数のカード達を含めて全てのカードを使用できるため、構築にかなりの自由度が生まれます。

このリストにはドローソースが5種採用されているのに加え、カザカスとマリゴスの生成カードにドロー効果を含むものがあるため、これらも含めればドローソースは十分量であると言えるのではないでしょうか。巨人を絡めたエグゾディアコンボが採用されていることからも、パーツを集めることのできるデッキであることがうかがえます。

しかしそれは絶対的な見方であって、他のデッキにも目を向けると多くのデッキがこのデッキ以上の回転速度を持っています。相対的にはこのデッキの回転速度はよくて中速止まりだと感じます。幸いカードパワーは高いので、いかに相手の動きを凌ぎながら隙を見てデッキを回せるかがこのデッキの課題です。

 

余談ですが、このリストは現在私が使用しているものです。過去のカードを含めて、優れたカードのみを採用した最高のデッキになっています。使ってみれば、ハイランダーの長所であるわくわくするような展開を体験することができることと思います。資産に余裕があればですが、今おすすめしたいリストのひとつです。

 

最後に

ハイランダーデッキはどうしても不安定だという印象がつきまといますが、特に出回っているリストはそのデメリットを踏まえて、なお他のデッキに引けをとらないようチューニングされたものです。使ったことがないのであれば、一度手にしてみることでそのリストの意図を理解することができるかと思います。

ハイランダーデッキの真骨頂はプールの広いワイルドで発揮されるため、ハイランダー好きなプレイヤーはワイルドに参入してみるのもおすすめです。