ハースストーン Tips

A Note on the Hearth

ハースストーンプレイヤーの備忘録

11/7 ワイルドアレク杯

Henryさんによる毎週開催のスタンダード大会『アレク杯』のワイルド版が初開催された。HenryさんとWelcome Wildさん共催だそうだ。

面白そうだったので参加してみたのだが、私の使用したデッキが予想外の躍進を見せ、なんと優勝することができた。今回はその模様について記録していく。

ワイルドアレク杯

大会の配信アーカイブはこちらから見ることができる。

 

非常に長くなると思われるので、冒頭にまとめを書いておきます。

大会前の仲間との一体感のある調整、大会中のえもいわれぬ興奮と緊張感、大会後の感想戦と、今回のワイルドアレク杯では十二分に楽しませて頂きました。日本でワイルドフォーマットにおける大会が開かれるのは滅多にない機会だったので、非常によい刺激になりました。

大会に参加した同志のみなさん、大会を開催してくれたHenryさん・Welcome Wildさん、本当に楽しかったです。ありがとうございました!

機会があればまたよろしくお願いします!

 

フォーマットはワイルド、4H1B Bo5コンクエスト。

 

 

デッキリスト

持ち込んだ4つのデッキリスト

 

ワイルドプレイヤーは、現在の環境で奇数ローグをプレイングの出るデッキとして好む傾向があるという話を耳にしていた。そのため、私の好みも踏まえ、ローグを仮想敵にしてコントロール色の強いデッキを持ち込みたいと考えていた。

ちなみに、調整段階では周囲のプレイヤーからローグを仮想敵と置くのは避けるべきだと忠告されていた。持ち前の爆発力と、どのマッチでも五分付近の相性を誇る安定性により、勝ちきるのは難しいという判断からだ。しかし、奇偶デッキがまだスタンダードに存在していた頃、奇数ウォリアーvs奇数ローグで数々の熱戦を繰り広げた経験を忘れられなかった私は、このマッチを全力で拾うというコンセプトのもとデッキを用意することにした。

 

自分の中で候補に浮かんだデッキは、レノロック、レノ型のメイジ、奇数ウォリアー、いずれかのタイプのドルイドだった。

メイジは、ギャラクシータイプが好みではなく、奇数ローグをメタる上でクエストは必要なかったため、どちらも入れない型を探した。

ドルイドは、ミル、翡翠、マリゴス、トグワグルと、多様なタイプが存在する。ひな形は全て同じで、コンボパーツの量によって防御用カードの枚数が増減する。アグロをメタるなら受けるだけでよく、攻めのコンボは必要ないため最も堅い翡翠ドルイドを持ち込むことにした。

リストは、周りに同じ大会に出場するプレイヤーがいたので、彼らに相談しながら決めていった。翡翠に入っていたイセラを持っていなかったため、自然学の予習と入れ替えてある。

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いくらか手合わせして悟りを深めたのだが、奇数ウォリアーと翡翠ドルイドは特に、アグロにめっぽう強い反面バリュー勝負に長けるデッキなどを相手にすると途端に勝てなくなってしまう。これはコントロールデッキの性として受け入れ、対コントロールマッチは諦め、アグロデッキを3タテするくらいの勢いで勝負に挑むことにした。

 

BAN及びデッキの投げ方

BANは、不利がついているデッキが多いものを選んだ。つもりだったのだが、後から考えてみるともう少しBANの仕方を詰められた構成が散見された。例えば、相手の2デッキに、それぞれ2つの異なる私のデッキが不利になっているとすると、相手がどちらをBANするかによってこちらのBANが変わってくる。このあたりを雰囲気で解決してしまったようだ。いずれも致命的な結果には至らなかったが、今後同じような機会があればそういった読み合いを意識した上で判断を下すよう心がけたい。

 

デッキの投げ方については、Bo3のゲームであれば数度経験があるのだが、デッキの当て方に関してはいまいち理解できていない。ましてBo5となると組み合わせが増えさらに複雑になるので、自信を持って正解だと思える投げ方はほとんどできなかったように思う。

ただ、今回は仮想敵をローグひとつに絞ったおかげで、投げ方に関して図らずも考えやすい状況を作れた。

ローグを3つのデッキ全てで倒すことを目標としているのだから、他のマッチはボーナスゲームととらえることができる。勝てなくても問題ないが、勝ってしまえばただで勝ち星を稼げるため、お得感のあるゲームだ。ただ、ボーナスマッチを落としてしまうと、相手は勝利したデッキを再び使用することはできないため、後続のデッキのボーナスマッチが少なくなってしまう。そのため、より広い相手を見ることができるデッキから投げていくのがいい選択なのではないかという考えのもとデッキの当て方を考えた。

ボーナスマッチはリスクがなかったが、リスクのあるパターンは、メタ対象に抜かれてしまうことだ。翡翠ドルイドのようなアグロ相手以外だと途端に心許なくなってしまうようなデッキは、相手にアグロデッキがなくなった途端お荷物になってしまう。このデッキを生かしておくために、先発デッキでアグロに抜かれないよう細心の注意を払ってプレイした。

 

第1ラウンド 3-0

翡翠ドルイド、(偶数)シャーマン、奇数パラディン、キューブロック(BAN)

BANNED=レノロック

奇数ウォリと翡翠ドルで相手するのが厳しいキューブをBANした。相手はシャマとパラが不得意なレノロックをBAN。

 

一戦目、全デッキに勝機がありそうなレノメイジを投げた。

翡翠ドルイドを抜けたのは幸運だったと思う。アグロメタ構成だったため、翡翠の装甲の前に打点が足りなくなるのではという懸念があったのだ。実際のゲームでは、序盤からテンポを取り続けることができ、なんとか削りきることに成功した。

 

二戦目は、残りのどちらにも勝てそうなウォリ。

奇数パラディンを危なげなく捌いて勝利。

 

三戦目、相手のシャーマンに手違いでゲン・グレイメインが入っておらず、偶数デッキの強みを活かしきれそうにないということで初手コンシ。

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第2ラウンド 3-1

偶数シャーマン、ラザカスプリースト、鯛罪パラディン、クエストメイジ(BAN)

BANNED=翡翠ドルイド

コントロール構成が苦手なコンボデッキであるクエストメイジをBAN。相手は翡翠ドルイドをBAN。

 

一戦目、キューブロック調の動きの通りがよさそうだったので、レノロックから。

偶数シャーマンをコントロールして勝利。

 

二戦目、鯛罪パラ相手にすぐには負けなさそうなウォリから。

続投してきた偶数シャーマンにリソース負け。

 

三戦目、相手はプリーストを投げてくると思ったため、メイジを当てた。

予想通り相手はプリーストで、リソース勝負で勝利。

 

四戦目、残りの奇数ウォリに相手はプリーストを続投。

DKとラザがかなり早く、厳しいゲームになるかと思ったが、シャドースポーン前にリソースを吐きすぎて打点が足りなくなり、勝利。

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第3ラウンド 3-2

偶数ウォーロック、奇数パラディン、アグロドルイド、コンボプリースト(BAN)

BANNED=奇数ウォリアー

 

コンボデッキはBANという予め考えていた方針に基づき、プリーストをBAN。相手は全デッキ不利がついている奇数ウォリアーをBAN。

 

一戦目、全デッキを見ることができそうなレノロックから。

偶数ウォーロックは、自傷ウォーロックより遅い代わりに、戦力となる生き物が多いミッドレンジ構成になっていた。立ち回りは対自傷ウォロをイメージしながら、耐えてン=ゾスで蓋をして勝利。

 

二戦目、横のアグロ2デッキに強いだろう翡翠ドルイドから投げた。ここはウォロ続投の可能性と恐らくアグロドルイドによりチャンスのあるだろうメイジの方がよかった。

偶数ウォーロックを続投され、小出しにされた巨人のビートにより火力のケアができず負け。

 

三戦目、自分の配信を見返しながら書いているのだが、なぜかメイジに切り替わっていた。ドルイドを見せたことで、アグロドルイドを当てられる可能性を考えてメイジに持ち替えたのかもしれない。

相手はアグロドルイドで、思いのほか激戦になった。一手違っていたら結果が変わっていたかもしれない。

ネルバー・ウェブロードが手札にぶっささり身動きが取れなくなったが、5Tゼフリスから大地の衝撃で解決し、続く6Tレノ・ジャクソンで体勢を立て直すことに成功。手札を全て捌ききって勝利。

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四戦目、残りのドルイドに対し相手はアグロドルイドを続投。

こちらは挑発を使ってライフを守ろうとしたが、超えられるサイズまで相手のミニオンにバフが乗り、盤面を返すことができずに押し切られて負け。

 

五戦目、奇数パラディン戦。かなり追い詰められたが、除去が間に合いなんとか逃げ切ることに成功。

 

第4ラウンド 3-0

自傷ウォーロック、奇数ローグ、マーロックパラディン、ガラクロンドウォリアー(BAN)

BANNED=レノロック

レノ2デッキが弱いガラクウォリはBANしようと決めていた。相手はパワーの高いレノロックをBAN。

 

一戦目、私はなぜかドルイドを投げている。ウォーロックを抜けないと思うので、ここは奇数ウォリが正解だっただろう。

相手はマロパラ。練習の時は毎回引いていたプリズムレンズをここで引けず、中盤の猛攻を押しつけるタイミングを逃してしまう。こちらは出てくるミニオンを除去しながら装甲を稼ぎ、挑発で蓋をして勝利。

 

二戦目、ここもなぜかメイジから入っている。奇数ウォリアーの方が対ウォーロック戦に慣れているので、ウォリから入るべきだった。

相手はローグに握り替えてきた。得意デッキで流れを変えようという狙いだろうか。

相手は土蜘蛛入りのリストで、レノデッキに対して強い構成になっていた。このゲーム中にもプレイされ、瀕死のところまで追い詰められた。しかし、埋められた土蜘蛛を引くのが早く、うち二枚はフルボードの状態で4/4が盤面に出なかった。流れがかなりこちらに都合がよく辛勝。

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三戦目、奇数ウォリアーに相手は自傷ウォーロックを当ててきた。超不利だが、結局抜かなければならないのなら最初に当てようという意図だろう。潔い。

ウォリアーのAoEは5Tから始動するため、そこまでは受けの態勢が整わない。ウォーロックは、AoEが手薄な4Tまでに展開するか、ロウゼブと合わせて巨人を並べるのが主な攻略法になる。

このゲームでは、相手は前者を選択し、4Tに巨人を2体並べてきた。かなり解答が限られる動きだが、こちらは運良く返すための条件が整っていた。

ここを返し、相手のライフが自傷によりほぼなくなっていたことで、防戦一方に追い込み勝利。

 

第5ラウンド 3-2

聖典パラディン、キューブロック、奇数ローグ、ガラクロンドウォリアー(BAN)

BANNED=レノメイジ

事前のプラン通り、ガラクウォリをBAN。相手はガラクウォリBAN前提か、レノメイジをBAN。読み合いに負けた形となる。

 

一戦目、ローグ以外にもまだチャンスがありそうなレノロックから投げた。

相手は聖典パラディンから。このマッチは、よく覚えていないのだが練習段階で一度抜いていたように思う。この記憶を信じて奮闘した。

サイズの大きい生き物を立て続けに並べられ、防戦一方になっているところ、止めのリネッサ・サンソロウをプレイされ、返しきれずに負け。相手のプレイがとても上手かった。

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二戦目、こちらはレノロックを続投。これは安直だったかもしれない。

心を見透かされたかのように奇数ローグを当てられた。キューブロックへの勝算はこのデッキにしかないため、これによって私にとってのボーナスゲームがなくなり、奇数ローグを3タテするしかなくなってしまった。

このゲームは、きれいに悪魔軍団を展開することに成功し勝利。

 

三戦目、奇数ウォリアーでキューブの相手をするのが絶望的なのは経験上分かっていたため、経験が少なくまだ私が希望を持てそうな翡翠から。

相手はキューブを当て、こちらの除去札が足りなくなり負け。ちなみに、私が頼みの綱にしていた勝ち筋は翡翠を育てて盤面をとることだったのだが、全く速度が足りなかった。

 

四戦目、比較的自信のない翡翠から。

高ヘルスの挑発軍団がささり、相手が手詰まりになって勝利。

 

五戦目、奇数ウォリvs奇数ローグ。優勝を争う戦いでこのマッチを戦うことができ、感慨無量。

マリガンがきれいに成功し、相手の序盤の盤面形成を阻害することができた。中盤以降はこちらの態勢が次第に整っていくため、カード1枚のバリューが高い奇数ウォリアーが優位に立つ。

しかし、相手のプレイが非常に上手く、リソースの温存具合によって常に脅威を感じさせられ続けるゲームとなった。

大暴れによってできた隙をいかに見せないかに焦点が当たったが、上手く立て直すことができた。

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あとは装甲を稼ぐことに気を配りながら盤面を除去し、手札を受けきって勝利。

 

所感

今回の大会では、思いもよらないデッキとも当たることができ、非常に面白かった。

ゲーム内容は、相手のミスに助けられた面もあったが、ところどころ自分のプレイに納得のいくゲームもあり、概ね満足している。

デッキ構成は、好みのデッキを寄せ集めた結果大会環境に刺さった形となる。勝つためにはメタに合わせたデッキ選びが必要不可欠だろうから、今後もあまり食わず嫌いせず幅広いデッキに関して知見を深めていきたいと思う。

やはり普段Bo1しかしていない弊害で、複数デッキ戦での当て方は不慣れな点が目立った。練習次第で感覚が身につけられると思うので、次回があればそのときまで上達していることに期待したい。