ハースストーン Tips

A Note on the Hearth

ハースストーンプレイヤーの備忘録

大会

私がハースストーンを始めてから今年で6年目になります。スタンラダーを主な活動拠点として、折に触れ別のモードも一通り遊んできましたが、さすがにマンネリしてきた感じを否めません。もちろん、カードゲームなのですぐに環境が変わるため、極め続けることは不可能で、常に学ぶべきことで溢れています。例えるなら、勉強しなければならないことは山ほどあるのに、ペンとノートを用意して机に向かうという入り口が変わらないために、学習が億劫になってきたようなイメージだと思っています。

このような状況を打開すべく、最近は新たな刺激を求めてコミュニティ大会に参加するようになりました。私の見ていた世界が狭かっただけかもしれませんが、以前は運営に用意された環境で競うだけで、自発的に楽しみを見出すような動きは少なかったように思います。もしくはそのような動きが注目されにくい環境でした。しかし、5年の時を経たコミュニティの成熟により、運営に頼るだけでなく自分たちでよりおもしろい遊び方を発掘することができるようになってきました。近頃特に盛り上がりを感じるのがユーザー大会です。オリジナリティに満ちたルールが提案されている大会も散見され、眺めているだけでもわくわくしてきます。

今回はいくつかの大会に参加してきた現時点の私が感じていることをまとめていきたいと思います。

合わせて、私が今まで参加した大会の記録もまとめたいと思っています。参加した大会はこのブログに欠かさず記録することにしているのですが、一番最初に参加した大会だけ記録できていないのがずっと心残りでした。書き出す機会も逸してしまっていたので、ここでこじつけておぼろげな記憶を頼りに書き残したいと思います。

 

 

初心者におすすめなチーム戦大会

私はもう初心者を名乗れる時期を過ぎてしまっているため、完全に初心者プレイヤーの気持ちに寄り添うことはできません。この項を見る場合は、これを念頭に置いて読み進めてください。

 

チーム戦大会をおすすめしたい理由のひとつは、要求資産が少ない事です。

一般的な大会は、いくつかの異なるデッキを用意してゲームを複数行い、勝利数の多い方が勝者とされるルールが採用されます。このデッキを全て自分で用意しなければならないため、勝ち上がることを目的にした場合そこそこの資産を持っていることが参加の前提とされます。

一方、私が参加した3つのチーム戦大会のうち2つは、各自デッキをひとつ持ち寄って対戦する形式でした。普段から使い慣れているデッキを持ち込むこともできるので、大会のために特別カードを用意しなければならないということがなく、気軽に参加することができます。実際私も知らず知らずこの恩恵を受けていました。

 

おすすめ理由のふたつ目は、得られる経験値が膨大な量であることです。

カードゲームは、RPGのように敵を倒し一定の経験値を貰って着実にレベルが上がるというタイプのゲームではないことは周知の事実でしょう。ゲームを理解しレベルを上げるために対戦するのに、効率よくレベルを上げるためにはゲームに対する一定の理解が要求されるというジレンマをはらんだゲームです。ただ、ポケモンでいう「ふしぎなアメ」のように簡単にレベルを上げる方法もあり、そのひとつがコーチングを始めとする自分より上手いプレイヤーにアドバイスを貰うというものです。チーム戦は、このコーチングを自然に受けられる環境が整っている場であると言えます。上級者はゲームを理解するための土台となる知識をすでに持っているので、うまく吸収できれば世界が変わって見えるほどの成長を見込めます。インプット力とアウトプット力は異なる能力なので、単にゲームが上手いだけでなくコミュニケーションが上手なプレイヤーに師事するのがポイントです。うまくいけば大会に向けた事前練習の段階で既に十分な収穫が得られていることでしょう。

初心者の自分が参加すればチームの足を引っ張ってしまうのではないかという不安があるかもしれませんが、そんな心配はほとんど必要ありません。使用デッキは事前に相談しておくことができます。今までのチーム戦大会ではチーム内での観戦、会話が許可されていたため、プレイ方針に関してはメンバーと話し合って選択できますし、分からない場面があっても、メンバーの意見を求めながらプレイすることができます。本当に危惧すべきは、メンバーの意見を翻せない空気ができてしまい、プレイに自分の色が出せなくなってしまうことです。その可能性にさえ目を瞑れば、大きな成長を見込める場として重宝するでしょう。

 

デッキ構成及び出し順について

デッキを複数用意し、先に全てのデッキで勝利した方がマッチの勝者となるルール、Bo3(ベストオブスリー)コンクエストやBo5コンクエストといったものが採用されている大会には何度か参加しています。その際に、ネットで検索すれば解説が出てくる程度にメジャーな戦術を2つ試しているのですが、どちらも好成績を収めることができています。決して通用しないものではないと思っているこの2つの戦法を紹介します。

 

・Tier1編成

ラダーで環境を定義しているデッキを上から順に持ち込む構成です。単純にデッキパワーが高いため、多少の相性差も力で覆すポテンシャルを秘めています。

Bo1環境と大会のメタは必ずしも一致しませんが、ほとんど同じデッキが台頭していると考えて大丈夫です。ラダーで回し慣れたデッキを持ち込むことができる点がこの構成の魅力です。

 

難点のひとつは、奇襲性が薄いところです。環境を定義するデッキは、メタを停滞させないためにプレイヤー総出で対策されていきます。名が知れ渡った代償として、手のうちがばれた状態で対戦することを余儀なくされます。

 

一貫性のない構成になり得ることも、場合によってはデメリットとなります。

ここで、グー=ビートダウンチョキ=コンボパー=コントロールというようにデッキタイプをじゃんけんの手で例えます。Tier1編成は、グー、チョキ、パー全ての手を検討する余地のある組み方であり、使いこなすためにはゲームに対する幅広い理解が求められる構成になります。ある程度のやりこみが必要となるため、上から強いものをピックするという発想の安直さからは想像のつかない難しさをはらんでいます。

 

・メタ編成

特定のデッキタイプをターゲットに、それに有利のついているデッキで固める編成です。相手が出してくる手の中にパーがあると考えられるなら、こちらの手を全てチョキで構成し、パーを全抜きすることを狙うという戦術をとります。これは、全てのデッキで勝つまでマッチの勝利が確定しないというBo*コンクエストルールの性質を活かした戦略で、グー、グー、パーという一見不利な構成をしている相手にも勝てるポテンシャルがあります。

この構成はどれも似たようなデッキタイプであるため、ある程度練度を共有できる点がメリットとして挙げられます。また、出し順についてもさほど結果には影響しないため、本番で使う思考のリソースを温存できる点も気に入っています。

 

この編成を選択するデメリットには、相手の編成に仮想敵がいなかった場合に厳しいマッチになることが想定される点があります。全てグーの編成で全てパーの相手に当たってしまう場合はもちろん、グー、グー、パーといった手を用意してきた相手にもデッキ相性だけで見れば不利がついてしまいます。カードゲームは相性だけで結果が出るわけではないので、たとえあいこであっても練度差など他の要素を使い有利に立ち回ることができるとはいえ、ゲームスタート時点で不利を背負うのは大きなリスクです。メタをしっかり読み切る力が求められます。

 

デッキを出す順番

この記事及び記事内のリンク先にわかりやすく簡潔にまとめられています。

私は、シャドウバースのBo3に打ち込んでいた時期に一度投げ順について考えたのですが、順番は結果に影響しないという結論に至りました。あれは確率論に基づいた考え方だったようです。

心理戦に関しては、この記事が非常に参考になります。

答えは提示されていますが、私は些細な意志決定を自分自身で行い、その結果についてあーだこーだするのがカードゲームの醍醐味だと考えている節があるので、必ずしもこの択を選び続ける必要はないと思います。

 

デッキの出し方に関して現在は少し違った考え方を持っていて、最も多く不利のついているデッキから先に投げることにしています。試行回数を稼ぐことによって勝率の低さを補うという発想です。これは運が悪いと全抜きされて終わってしまい、大会の後味が悪くなってしまうため、メンタルコンディションが好調の時でないと使えない考え方です。

 

ラダーと大会との違い

ここで大会に参加する意義について考えたいと思います。

本当はこの話を冒頭に持っていきたかったのですが、デッキ構成の話のあとに持ってきたほうが内容が伝わりやすいかと思い、渋々この位置になりました。

 

ラダー、つまりBo1は、1マッチに1ゲームしか含まれないため、マッチをとるためには負けが許されません。そのため、幅広いデッキに有利が取れるデッキが頂点に君臨しがちです。

対して、1マッチに複数のゲームが含まれるルールが採用された大会では、上で紹介したメタ編成を筆頭に、受けは広くなくても特定のデッキには勝てる、いわゆる尖ったデッキでも十分に活躍させることができる戦術があります。この編成を知っているだけで、実用レベルに至るデッキの数はBo1環境に比べてぐんと増えます。Tier1編成のような、Bo1と構成デッキが似ている編成を使用する相手もいるでしょうが、対戦相手の嗜好には干渉できないのがこのゲームです。自分のデッキを握り替えてみるだけで新鮮な体験をすることができるのではないでしょうか。Bo1環境にうんざりしているという声をちらほら見かけますが、そういうプレイヤーにおすすめです。

 

大会記録

Hearthstone Masters Qualifier Seoul-Asia Ladder Qualifier June ベスト8

 私が初めて参加したhs大会です。ラダーを頑張っていたら運良くtop200finできたため、記念に出場してみました。今では珍しいスペシャリストというルールで、1デッキの中身最大5枚を入れ替えたものをふたつ用意し、3つのデッキを任意に握り替えて使う事のできるBo3の大会でした。

出場した中で最もモチベーションが高い時期で、熱心に取り組んだ大会です。その甲斐あって、個人としては史上最高の成績を収めることができています。当時はTwitterを始めて間もなく、ネットの毒に触れる機会が少なかったため、純粋にゲームを楽しむことができていました。

 

この大会は悪党同盟環境で、コントロール/ボムウォリアーが頭ひとつ抜けて強かった覚えがあります。ウォリアーを握るなら天敵ハンターにも比較的勝機のあるボムウォリアーだと思っていました。しかし、私が持っていたのはコントロールウォリアーのみだったため諦めて、最も使い込んでいたミッドレンジハンターを持ち込むことにしました。サイドデッキは、直近の大会で好成績を残していたリストを丸パクリしました。大会直前に用意したため、サイドリストの練習はほとんどできませんでした。リストを変えるということは有利のつく相手なのだから、さほど練習する必要はないだろうという口実を考えていましたが、今思えばこれは間違いでした。有利なゲームといえどプランの確認程度はすべきでした。

当時の対戦表です。懐かしいデッキがわんさか出てきて目頭が熱くなります。

心の片隅で意識していたマーロックシャーマンはウォリアーに駆逐された結果ほとんど姿を消し、ミッドレンジハンター、ボムウォリアー、招来メイジ、テンポローグからなるメタとなりました。全てラダーでの練習段階で仮想敵として意識していたデッキで、勝ち筋はしっかり把握できていました。ハンターの持ち込みが最も多く、デッキチョイスは悪くなかったようです。

2度の不戦勝を含み順調に勝つことができ、2敗がドロップラインと言われていたにもかかわらずオポ差でベスト8が集う決勝トーナメントに進出することができました。

決勝トーナメント初戦は、仮想敵の中で最も意識していたボムウォリアーでした。勇んで対戦を開始しましたが、とてつもない手札事故で何もできずメインを落としてしまったのを覚えています。

サイド後は、対ウォリアーを意識したリストに握り替えました。しかし、私がウォリアー相手に選択していたプランはスケイルハイドを使い回して爆弾を全て受けきるプランであり、攻めるプランをとる必要があるこのサイドの立ち回りがよく分からず負けてしまいました。反省点はあったものの不思議とそれほど悔しくはなく、初参加にしては十分な成績だと納得していました。

驚いたのはTwitterでのリアクションで、ベスト4の権利獲得者達は大勢から祝福されているのに、権利は得られなかったとはいえ決勝トーナメントまで勝ち進んだ私たちには何もなかったのが衝撃的でした。注目されるのは優勝者のみで、道中踏みつぶされた砂利には誰も見向きもしない、という内容をMTGのコラムで読んでいましたが、まさにそれを体感したような気でいました。のちに優勝したワイルドアレク杯では、中身のないツイートにたくさんの祝福を頂いたことからも虚しさが漂います。

 

HSタッグマッチ2 2位

スタンBo3、ワイルドBo3、BG担当に分かれてBo3を行うチーム戦です。私はワイルドBo3を担当しました。

スタン、ワイルドに分かれてタッグを組む大会が以前開かれており、その続編でした。

この大会は、私が参加した他のチーム戦とは違い、各フォーマットの担当者がひとりだけで、基本的に本番中メンバーに相談することはできなかったため、チームの足を引っ張るまいと猛練習しました。

詳しくは別途記事を書いてあるので割愛しますが、私個人の成績としては全勝することができました。デッキチョイスが功を奏したと感じています。

 

ワイルドアレク杯 優勝

ワイルドの雰囲気に嫌気がさし、しばらく引退することを考えていたところ、久しぶりのワイルド大会が開催されるということで、記念に参加してみた大会です。

引退直前でワイルドをプレイするモチベーションが0だったため、周囲のワイルドプレイヤーに環境を聞いてデッキを決めようとしたところ、奇数ローグは構成に絶対入るデッキだという情報を得ました。そこで私はこのデッキを仮想敵に置き、4コントロール編成を持ち込み3タテする方針でデッキを組みました。これが見事に刺さり、最後まで勝ちきることに成功しました。

 

第2回フェル学杯 ベスト4

スタンダードBo3を3人チームでプレイする大会です。海外の大学対抗試合などを見て、画面の奥で大盛り上がりしている姿を楽しそうだと感じていた私は、そのようなゲームができることを期待して参加しました。

実際には思ったようにはいきませんでしたが、一度回ってきた私の出番は配信台でしっかり勝つことができたので満足しています。

 

ハースストーン甲子園 優勝

前回のチーム戦はスタンダードの経験が浅いメンバーとの出場だったので、今回はスタンメインのプレイヤーとチームを組みたいと思いながら参加した大会です。

あわよくば交流の輪を広げたいと思っていたものの、私の地元山形では残念ながらハースストーンが盛んではないようだったので、身の回りの山形所縁のプレイヤーに声をかけてチームを組みました。

同じ地域出身であるためか波長の合う3人で、軋轢も生まれず楽しく議論することができました。その結果優勝までたどり着き、山形の存在を日本hs界に強くアピールすることに成功しました。山形最強!