ハースストーン Tips

A Note on the Hearth

ハースストーンプレイヤーの備忘録

MTGA記6

先日、最新弾であるフォーゴトン・レルム探訪が発売された。forgottenをこのようにカタカナ表記することに果てしなく違和感を感じる。カード名にも英名をそのままカタカナ表記したものが多いため、固有名詞であるということなのだろう。

今シーズンは、昨シーズンリミテッドで破産してしまい心に負った傷跡があまりに大きかったため、リミテッドに潜ることにとてつもなく慎重になっている。まだ新環境の話ができるほど新カードを楽しんでいないため、昨シーズンの話を書いていこうと思う。

 

昨シーズンのテーマとなる拡張、ストリクスヘイヴンは十二分に満足感を得られる拡張だった。目玉ギミックの履修:講義は、リミテッドのゲーム体験はもちろんピックを何倍も奥深いものにしてくれるギミックで、この拡張のリミテが私の過去一遊んだものになった。

もう一つの特徴は、スタン落ち済みのパワーカードの中から選りすぐりのものがミスティカルアーカイブとして再録されていることだ。私は1年前からMtGAでマジックデビューした新参者であるため、過去のカードのことは全く知らない。歴戦のプレイヤーがこぞって話題に挙げるあのカード達をアリーナのヒストリックでもプレイできるというのは、当時を追体験できるような心地でとてもわくわくした。

現状無課金で遊んではいるが、資産管理能力は人並以上あると思っているため、カルドハイム辺りからヒストリックも触り始めた。ラクドスアルカニストから入り、当時最強だったジャンドフードにたどり着いた。ジャンドフードは基本的に猫かまどパッケージを使いアドバンテージを稼いで勝つデッキなので、墓地対策などでここをメタられるのに弱い。しかし、少しメタられたくらいでは相性差までは覆らず、そのままぶち抜いてしまうほどのパワーがこのデッキにはあった。ドローエンジンも豊富にあり、再現性の高いゲームプランを組むことができるのも気に入った理由の一つだ。

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ストリクスヘイヴン発売後は、専らジェスカイコントロールを握っていた。

この拡張で初登場した表現の反復に加え、ヒストリックでは記憶の欠落、渦巻く知識、信仰無き物漁りといった赤、青のカードが再録されたため、イゼットカラーのデッキが猛威を振るった。ジェスカイコンはここに白を加え、稲妻の螺旋や審判の日を組み込み、隙のないコントロールデッキに仕上がっている。

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サンプルリスト

 

このデッキは、中盤まで適宜除去や打ち消しを使って凌ぎ、4tのラスから5tテフェリーのプレイを契機に攻勢へと転じ、サメ台風を使ってフィニッシュを狙う形にデザインされている。デッキの性質上ランプデッキのようなマストカウンターカードを連打してくるデッキに弱いが、攻め札のあるコントロールという比較的広い相手を見ることのできるデッキタイプで、相手のプランに合わせて柔軟に対応できるのが強みだ。

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ちなみにこのデッキ、ミラーマッチがとても面白い。カードゲームは往々にして、自分と相手が同じ土俵に立っていることを求められる場面がある。打ち消しなんて卑怯だ、ハンデスなんてずるい、正々堂々地上で戦え、といった具合だ。こういった要望は、同じ性質のカードを使っているミラーマッチによって解消される。しかし、デッキに同じカードしか入っていない都合、勝敗を分ける要因が少なくなり、しばしば引きに依存してしまう、もしくはそう感じやすいという現象が起こる。この繊細なバランスが、このデッキのミラーではだいぶ取れているように思った。

 

ゲームは、やはりテフェリーを巡って展開される。このカードは、ドビンの拒否権の対象として最優先に挙がるカードである。中盤以降のタップアウトはテフェリーを通す隙を見せてしまうことになるので、常に2マナ起こした状態でゲームを進めていく。テフェリーのプレイも、よほどリスクを取らなければならないくらい圧されている場合を除き、記憶の欠落1枚は返すことのできる7t以降を目安にする。

ドビンの拒否権は、テフェリーを通す攻めのプレイよりも、相手の攻め札を通さない守りの場面でこそ真価を発揮するということは意識しておきたい。テフェリーへの打ち消しに対する打ち消しに使うのは、そのカウンターこそ通らないものの、2枚目の打ち消しを重ねてテフェリーへと打たれた場合、ドビンの拒否権が相手の2マナとの交換で終わってしまうためだ。対して、相手の能動的なアクションに合わせた場合は、確実にターゲットとの交換になる。この差は大きい。

テフェリーが通れば即ち決着かというとそんなこともない。捲るキーカードはサメ台風である。サイズ4/4以上は途端に触りづらくなるため、万が一相手のテフェリーを通してしまった場合は、サメと稲妻のらせんを絡めるといったプレイでテフェリーを落とすことを目標にする。

ナーセットは、一見脅威だがこれ一枚でゲームが終わるというほどではない。解決も稲妻のらせん1枚で済むため、ここに貴重な打ち消しを浪費することのないよう、慎重にゲームプランを組み立てたい。なお、結末が概ね見え始めている終盤ではこの限りではない。テフェリーかサメのハードキャストあたりを通せていれば、かなり有利な展開に持ち運べているはずだ。そのため、見えないテフェリーを徹底的にケアするといった及び腰の構えより、ナーセットからリソースを補充されることを防ぐとともに、ドローをナーセットで固定するといった攻めの姿勢を見せてもいい段階になっているだろう。

ちなみに、ナーセット関連でひとつ小技がある。某配信者の受け売りだが、このマッチではサメ台風をx=1以下ではプレイしない。理由は、アタックが2以上あればナーセットを叩いたときに追加のサーチを阻害することができるからだ。このような微細なアドバンテージの積み重ねが、試行回数を重ねるにつれてゲームの勝敗に結果として表れることになるだろう。

 

3色デッキということもあり、色事故を不安に思いながら触り始めたのだが、杞憂だった。ラスのための白白が出ないことが稀にあるが、他に目立った土地事故は起こらない。ナーセットのマイナスを使わずにそのまま置くのが強かったり、テフェリーのプラスマイナスの選択が勝敗を分けたりと、意志決定の機会が多いのもこのデッキの特徴だと思っている。今後の新弾の追加でこのデッキの立ち位置がどう変わるかは分からないが、資産にある程度余裕があれば触ってみても損にならないだろうと言えるくらいには面白いデッキだと思っている。

ヒストリックのイベント戦報酬はヒストリックカード限定であるという性質上、ひとつ下環境のデッキを持っておけば好きなときに下のカードを集めることができるようになる。ちまちま集めることに意味があるのかと疑問に思ってしまうくらい下環境のプールは広いが、小さなアドバンテージに鋭い嗅覚をもって飛びつくのがカードゲーマーだろう。いつの日かカードをコンプリートする日が来ることを夢見て日々カード収集に励みたい。