ハースストーン Tips

A Note on the Hearth

ハースストーンプレイヤーの備忘録

JAPAN OPEN 2022 スイスラウンド8-1

突然の告知のもと開催されたMTGアリーナの大会、JAPAN OPEN 2022に参加した。

MPLのひりついた大会模様などを眺めながら、自分もカードが集まったらMTGの大会に参加してみたいと常々思っていた。始めてからかなりの時間が経った今、ようやくゲームプレイに困らない程度の資産を形成することができつつある。ちょうどこのタイミングで大型大会開催の告知があったため、お祭り感覚で参加してみることにした。幸いtop64に残れたため、今日だけでなく明日も続きのマッチがあるのだが、参加時点ではまさか決勝トーナメントまで残れるとは思っておらず、2敗時点でドロップするまでのスイスの成績を簡単にまとめようと思っていたので、予定通り記憶の新しいうちに1日目の雑感を記録していく。

 

 

デッキ選択過程

今回の環境は、ローテーション直後かつ新弾リリース直後ということで混迷を極めた。黒以外のデッキは主要カードを失っていたり、追加カードにめぼしいものが少なかったりする中、黒はスタン落ちによるダメージが比較的小さかったことに加え、新カードにも一線級のものが多いことから、黒が環境を定義する色となった。黒単が成立するほど黒にはパワーカードが勢ぞろいしているわけだが、黒単が支配しているわけではなく、黒のいいとこどりをしながら、打消しや火力、フィニッシャーを肉付けしていく形で様々なタイプのデッキが開発されることとなった。

目に見えて大きな変化が現れたのは環境初週に開催された大会でジャンドミッドレンジが優勝したタイミングだ。リリアナによるハンデスをリアニメイトの手段にすることを狙ったデッキで、リリアナの使用率が非常に高かった初期環境に嚙み合っていた。

同時に結果を出していたのがグリクシスミッドレンジで、ジャンドのような大ぶりなアクションを叩きつけてくるデッキに対してカウンターで応戦するという形で青の強みを発揮するデッキだ。マナベースが若干不安定なことを除けば、前環境と同じような振る舞いをすることができるため、一定のシェアを占めることは容易に想像できた。

こうした流れの中で、私が最初に目を付けたのがグリクシスミッドレンジだった。前環境でも触ったことがあったため、当時の感覚を活かしながら戦うことができるのではないかと考えた。しかし、3色デッキには両面ランドを失ったことが大きなデメリットとして響き、当時ほど動きが安定しないようだった。使うなら、アグロデッキをどう捌くかを考えてリストを練る必要があった。

大会が近づくにつれて、グリクシスの評判が上昇してきていることを察知した私は、ミラーマッチの懸念について考慮せざるを得なくなった。基本的にミッドレンジミラーは序盤からテンポよく動いたほうが勝つゲームになりやすいと思っているため、先手後手と序盤の引きに勝敗が大きく左右される。この差を取り返すには、他のプレイヤーと差別化できるくらい一手を正確にプレイするか、逆転の起点となるカードを採用する必要があると考えている。しかし、本番まで日がなく、急ごしらえのリストでは勝ちきれないし、差別化できるようなプレイも発見できそうにないと感じた。そのため、グリクシスミラーは避け、このデッキに優位に立てそうなデッキを探すことにした。

ここで目を付けたのが、今回使用した黒単だ。このデッキはグリクシスに有利がついているというデータがあったため、有利になるメカニズムはよく分からなかったがとりあえずこのデッキを使う方針で調整を進めた。

これが調整後のリストだ。参考にした元のリストから変更した点がいくつかある。

大きな変更点は、メインからヴェリアナを抜いたことだ。ヴェリアナは3マナのクリーチャーがプレイされた返しにそれを生贄に捧げさせる動きが強いのだが、ヴェリアナ環境ではこのカードに対する対策が進み始め、しっかり序盤から動いてくるデッキが増えた。横並びに対しては真価を発揮できないカードなので、有効に使うためには盤面を整えておくというお膳立てが必要となる。しかし、このような活躍の場が限定されたようなカードはミッドレンジデッキと相性が悪く、3マナのアクションとしてはクリーチャーをプレイするほうが強い場面が多い。さらに、プラス能力のディスカードは、カードを早々に使い切って相手にだけディスカードを強要するのが理想だが、このデッキの場合リソース勝負を仕掛けることも多いため、ディスカードが自分に重くのしかかってくる可能性もある。デッキとの相性を考慮して、メインから抜くことにした。

ふたつ目は、隠し幕の不採用だ。1マナ域を増やすことで相手のヴェリアナを避けることができ、3マナ払えば相手の手札の脅威を取り除きつつアタッカーになるというカタログスペックの高いカードだが、今の環境でその動きは悠長に感じた。特に変身タイミングに除去を合わせられるのが最悪で、ディスカードが起動しないためマナの払い損になってしまう。やはりミッドレンジらしく3tは3マナのカードをプレイしたいと思い、隠し幕の採用は断念した。

みっつ目は、魂転移の採用だ。追放除去が少なくなった影響で、黒がらみの除去への対策としてPIG能力持ちが現れている。それらを後腐れなく対処する手段として魂転移を厚く取っている。エンチャントとアーティファクトをコントロールしていれば両モード選択可能になる点も見逃せない。このデッキではしばしばこの効果がアクティブになる場面が発生する。

最後に、マナフラ受け用の土地枠について触れたい。もともと《道路脇の聖遺》の枠には《廃墟の地》が入っていた。多色環境のため、相手の多色ランドを割れば色が出なくなり、あわよくばランデスを狙いたいというような意図があると思う。しかし、この土地のバリューは相手のデッキタイプに大きく依存し、例えばミラーであればほとんどが基本土地のためただの無色マナになってしまう。それよりは、マナフラ受けとしてカードを増やせる聖遺の方が汎用性が高いということで入れ替えることにした。

《セレスタス》はあってもなくてもいい。もとのリストに入っていた名残で使っており、マナジャンプすることでスムーズに《絶望招来》を打てたり、ロングゲームに強くなったりするが、基本的には短期決戦を目指す方が勝てるデッキのようなので、攻め札に入れ替えてもいい。

 

スイスラウンド戦績

1 5Cアグロ                          2-1 ○

2 黒単                                  2-1 ○

3 黒単                                  2-1 ○

4 ラクドスミッドレンジ     1-2 ×

5 エスパーミッドレンジ     2-0 ○

6 グリクシスミッドレンジ 2-1 ○

7 マルドゥミッドレンジ     2-1 ○

8 黒単                                  2-1 ○

9 グリクシスコントロール 2-1 ○

 

所感

大会環境はグリクシスが多数との読みは当たっており、マッチしたグリクシスにはきちんと勝つことができたため、デッキ選択は悪くなかったと言える。

ただ、持ち込んだ黒単は2番目に使用数の多いデッキで、今回はグリクシスより対戦回数が多くなってしまった。結局ミッドレンジミラーが発生したため、これならミラーを割り切ってグリクシスで楽しんだ方がよかったかもしれない。黒単でミラーを全勝できたのは構築に起因するところが大きいと思うので、リストで差をつけられたという意味では黒単の調整は成功している。

どのデッキもプレイヤーの創意工夫が垣間見え、非常に面白いゲームばかりだった。細い糸を通すような捲り方をしたゲームもあり、一瞬でも気を抜いていたら負けていたかもしれない。

戦績としては、期待以上のものになった。強豪プレイヤーも多数参加している大規模大会で勝ち残れたというのは、今後マジックを続けていく中で大きな財産になると思う。

決勝トーナメントは気負わずに楽しみ、今後のプレイに活かせるような経験値を吸収したいと思う。