ハースストーン Tips

A Note on the Hearth

ハースストーンプレイヤーの備忘録

エレキギター購入

先日、ふと思い立ちエレキギターを購入した。

私が敬愛するBUMP OF CHICKENのギタリストが使用しているモデルである、ギブソン製のレスポールスタンダードだ。

 

エレキギターを始めようと思った理由はふたつある。ひとつは新しい趣味を持ちたいと考えていたこと。ふたつ目は、学生時代の部活動に関して未練が残っていたことだ。

自分よりひとつ歳上の先輩が高校の軽音部に入り、彼のライブを欠かさず見に行ったことから、彼の高校、部活に入ることに憧れていた。もしかしたら一緒にバンドを組むことだってできるかもしれない。しかし、私の進路を決める際、親を始めとする周囲の意見はそこよりもひとつ上のレベルの高校に入るべきというものが全てだった。2番と3番のような差であれば周囲もさほど執着しなかったのかもしれないが、不幸なことにひとつ上に行くと県内トップの進学校というランクになってしまうため、学の無い親にもレベルの差が理解できてしまった。結果、レベルの高い高校に行くように半ば強制された。

結局私は、憧れの先輩とは違う高校に進学することになったのだが、部活動では絶対にバンドをやると決めていた。しかし、体験入部期間が始まりいざ軽音部を探してみると、ない。血の気が引くような思いをしたような覚えがあるが、ないものを嘆いても仕方がないため、吹奏楽部、いわゆる(ブラス)バンド部に入部するか、習っていたドラムは諦めクラシック音楽を演るような部活で弦楽器を学ぶかの2択から、ましな方を選ぶことにした。吹奏楽部では馴染めなさそうだったため、ガットギターを始めることにするのだが、消極的な選択法だったこともあり最後まで虚無感を背負ったまま高校の部活動を終えることになった。

大学には、高校時代果たせなかったバンド活動をすることをモチベーションに進学した。高校と違い、バンド活動をしているサークルがない大学は聞いたことがなかったため、学校選びに失敗する不安はなかった。無事に軽音部に入り、気の合いそうなバンドメンバーにも恵まれ、やっと望んでいたバンド活動が始まるかと思ったが、そう上手くはいかなかった。それまでの失敗が自分にとって大きすぎて、理想が高くなってしまっていたのかもしれない。バンドには、私と同じように大学からのバンドデビューを夢見て部活に入ってきたギタリストがいて、彼がかなりの曲者だった。とんでもない主張を強引にかつ悪気なく通すタイプで、バンドでコピーする曲は彼の選んだ曲に支配され、私の本命は全て後回しにされた。そのまま学年が上がり、バンドとしても徐々に箔がついてきた頃、今度はコピーではなくオリジナル路線に切り替えたいという話が浮上してきた。明確なきっかけがあったわけではなかったと思うが、恐らくベーシストが高校から軽音部で活動しており、一通りのコピーは済ませていたのが大きかったと思う。私のやりたい曲はひとつも演奏できておらず納得し難かったが、先輩方に持ち上げられバンドの雰囲気が浮ついていたこともあり、流れに逆らえずオリジナルバンドとして活動することになってしまった。

体のいいバンドの解散理由として「音楽性の違い」という言葉が揶揄されるが、実際に音楽性の違いに悩まされてみるとそのストレスはとんでもなく大きかった。部活関連の面倒なしがらみが増えたこともあり、中学時代から憧れ続けたバンド活動だったにも関わらずその頃からモチベーションは下がる一方だった。

 

この期間の未練を未だにひきずっている。これを解消するのは、ドラマーとしては難しい。ドラムはどこまでいってもリズム隊に過ぎず、単体で演奏してもあまり面白くない。やはりバンドとしてグルーヴを生み出すことに大きな魅力のある楽器だ。だが、今の自分にもう一度バンドを組む力は残っていないと思っている。そのため、今までずっと虚無感を背負い続けてきた。

何がきっかけだったのかよく分かっていないが、動画サイトで演奏系の動画を頻繁に見ていた私は、ふと自分がエレキギターを始めるという発想に辿り着いた。今思えば、もっと早くに浮かんでいてもいいようなものだが、自分はドラマーであるというアイデンティティが、私が思っている以上に強固なのかもしれない。

この発想は恐らく長年の未練を断ち切る解決策になり得る。私のバンド活動に対する根本的なモチベーションは、私の好きな音楽を自分の手で鳴らしてみたいという気持ちであり、バンドを組むことが必須では無さそうだからだ。ドラムの場合は上述の理由から単体で満足感を得ることが難しいが、ギターであれば楽器隊の中で最も表現力が高いだろうから、期待している充足感を得られると思われる。

高校で得たギターのスキルは、オープンコードとバレーコードのフォームと指弾きのやり方程度で、ロックで多用するパワーコードのようなフォームやピックの扱い方などについてはよく理解していない。そのため、ほぼ一からのスタートとなるだろう。知的好奇心にはさほど衰えを感じていないが、余暇の使い方が下手になっているような感覚があるため、焦らず地道に練習を継続していきたい。

 

購入するギターを選ぶ上で、真っ先に思い浮かんだのは黄色いレスポールスペシャル。時点で同型のブルーバーストだ。どちらもBUMPのギターボーカルが使用しているもので、アイコニックなギターとなっている。このギターは選択するうえで少しばかり問題があった。ブリッジが特殊なつくりをしており、私が欲しい音を鳴らすためにはブリッジを交換する必要があること、加えてブルーバーストにする場合は、オリジナルのカラーラインナップには用意されていないため、別途塗装を依頼する必要があること。そして、突き詰めた場合このギターはバッキングの音しか鳴らせないだろうということだ。リードを演るなら、それに合わせてギターを用意する必要が出てくる。コピーするうえで力を入れたいのはリードギターになるだろうから、悩んだ末スペシャルの購入は見送ることにした。

となると、欲しいギターは自ずと見えてくる。レスポールスタンダードの1959年モデルだ。全く同じものの新品を手に入れようとすると桁違いの金額になるため、中古の購入を検討することになる。しかし、私はネットで買うことを前提にしており、中古の購入にはリスクが伴うと思っていた。金額面も考慮して、現行のモデルから1959年製に近いスペックのギターを選ぶことにした。

そうして決めたのが、Gibson USA Les Paul Standard 50s Heritage Cherry Sunburst。新品で、2022年製らしい。

スペックは1959年モデルにまあまあ近いらしく満足なのだが、色味に若干妥協点がある。Tea BurstやHoney Burstのような、もう少し薄い色の方がイメージに近かったのだが、私が求めているスペックを持つギターの中には生憎そのようなカラーがなかった。とはいえ、Cherry Sunburstもレスポールを象徴するようなカラーで、私がよく聴いているバンドのアーティストも使用している。使っているうちに愛着が湧くだろうと思い、この色に決めた。薄っすらとした虎目も選択肢の中では最も奇麗なものを選んだと思っており、気に入っている。

重さと握り心地が懸念点だったが、今のところどちらも感触は悪くない。弾き慣れてきたときにどのような印象に変わっているか楽しみだ。

今後は、このギターとともに叶わなかった希望を拾っていきたい。気が向いたら、このブログでも綴っていこうと思う。