ハースストーン Tips

A Note on the Hearth

ハースストーンプレイヤーの備忘録

ディミーアローグとの決別

ゼンディカー末期から現在まで、スタンダード環境をディミーアローグ一本で走り抜いた。期間にしておよそ8ヶ月だ。この間、創成期を除いて万年tier2のポジションをキープし続けたこのデッキとも、2ヶ月後の新拡張と同時に訪れるローテーションとともにお別れすることになる。このデッキは私がMtGを始めてから最初に作成した環境デッキのひとつであり、思い入れも強いため、シーズン毎のリストの変遷を見ながらこのデッキとの思い出を振り返っていきたい。

 

 ゼンディカー後期

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 私が握ってきた数世代に渡るローグのリストの中で、特に思い入れのあるリストだ。

このリストでゼンディカー後期のBo3ラダーを登り、ミシック直前までたどり着いた。その後、カルドハイム環境初日に流行ったアブザンヨーリオンをカモることに成功し、構築初ミシックを達成した。

そのあと開催されたメタゲームチャレンジでは、このリストで4回ほど挑戦したところ7勝を達成することに成功している。

この時期のリストの特徴は、凪魔道師の威圧が採用されていることだ。当時はグルールや緑単フードといったミッドレンジ寄りのクリーチャーデッキが環境に無視できない数存在し、恋煩いの野獣のような生き物に触る手段の搭載が必須だった。このカードをその枠に充てれば、除去とともにローグに足りない壁の役割を対象に任せることができるため、今度は相手がこのブロッカーの突破に頭を悩ませることになる。パワーカードであったため2枚採用のリストも多かったが、効果が対クリーチャーデッキの場合のみに限られる、ゲームプラン的に青3の用意が厳しい場合がある、使用前に相手の墓地が肥えている必要がある、といった活躍するための条件が気になったため私は1枚採用に抑えていたようだ。

2枚にした場合、代わりに抜くカードがマーフォークの風泥棒だったことも威圧1枚差しを選択した要因だ。風泥棒は、対アグロでチャンプブロッカーに回してもアド損せず、対コントロールではクロック源に回すことができる、非常に小回りの利くクリーチャーだ。

当時はグルールアグロをメタる事が大前提となる環境で、このマッチでは1/1が何もできないサイズであることと、チャンプブロックという行為がトランプルに弱く、エンバレスの宝剣があちこちから飛んでくる当時のメタでは風泥棒の役割は薄いとの判断だったのかもしれない。しかし、ソーサリーのためにクリーチャーを抜くという選択は私にはできなかったため、風泥棒4積みは死守した。

サイドボードだが、スカイクレイブの影、神秘の論争は、どちらもメインから抜くカードを作れなかったためフル投入するゲームはほとんどなかった。論争を減らして凪魔道師の威圧を増やすのはありだったと思う。

ちなみに、このリストの前にディミーアローグのプロトタイプが存在するのだが、リストを保存していなかったせいで確認が取れない。心を一つにと無礼の罰が入っておらず、取り除きと神秘の論争になっているリストだったように思う。このデッキは、物語への没入という明確に引きたいカードが存在するため、ドローの価値が高い。心を一つにの採用によりデッキがスムーズに回るようになった。

 

カルドハイム前期

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カルドハイムリリースから少し経った頃のリストだ。アガディームの覚醒は入れ得カードだと思っていたため、凪魔道師の威圧が抜けた今なおさら2積みになっている理由に首をかしげた覚えがある。

メインの大きな変更点は血の長の乾きが取り除きに変わっていることだ。カルドハイムから氷雪デッキが誕生し、単色アグロにはフラッド受けとして不詳の安息地、俗にいうミシュラランドが広く採用されるようになった。このカードへの対応はインスタントタイミングに限られるため、ソーサリーである乾きが抜けた形だろう。

サイドには、待望のAoE激しい恐怖と、-修正による疑似除去ができる死の重みが新たに加えられている。いずれも白単の神聖刃への回答になり得る、対アグロ用カードといった立ち位置だ。このころはヒストリックを触っていた関係で、スタンはBo1をメインに遊んでいた。そのためサイドボードの使い勝手は分からない。

 

カルドハイム中期

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このリストは、カルドハイムシーズン中旬にArne HuschenbethがカルドハイムCSを優勝したあとに更新したリストである。彼が優勝したときに使っていたリストがディミーアローグで、アグロデッキに当たるリスクを背負いながらこのデッキを選択し、見事なプレイで優勝までたどり着いた彼の姿にいたく感銘を受けた。

はっきり覚えていないが、リストは彼のものに近いが彼のものではないものを選択したように思う。欺瞞の神殿3、ゼイゴスのトライオーム3は私のプレイスタイルに合っていない印象を受けたが、ごく稀にサイクリングを打つことがあるためこの配分でよさそうな感じもする。

このデッキもBo1でのプレイが主だが、先日行われたメタゲームチャレンジのために少しBo3を触っている。激しい恐怖の枚数と魂標ランタンの要否は怪しいが、他には特に違和感なく回すことができた。メタゲームチャレンジ本番も、新拡張で強化されたことにより数を増やした緑単、ナヤウィノータ相手にも十分戦うことができ、一発で完走することに成功した。

このリストは、ロークスワイン城がいい味を出している。効果の起動は主にロングゲームとなる低速デッキ相手だ。ライフを詰められる展開にはならないためデメリットはほとんど気にならない。

マルチカラーランドとの入れ替え枠なので、タップイン前提で考えると、事前に沼が出ているだけでアンタップインに変えることができる上振れ要素を持った土地になる。アグロ相手はテンポが命なので、1マナ伸びるかの差は大きい。マルチカラーではなく黒単色なので青が出ないが、もともと青に不足はないため問題ない。

 

これらのリストはランクマッチで試しているわけではなく、イベント戦モードで使用している。ランクマッチよりも大きな生産性を期待できるからだ。メタが異なっている可能性はあるが、対戦デッキのパワー不足はあまり感じない。資産が集まってきてコレクション効率を気にする必要がなくなってきたら、勝率ベースからランク、順位ベースの評価方法に切り替えてみるのも面白そうだ。印象が変わる可能性がある。

 

これから

あと2ヶ月はローグで遊ぶことができるが、そろそろローテーション後のことを考え始めてもいい頃合いかもしれない。

現環境ベースで考えると、イゼットテンポが一番気になっているデッキだ。カラーリングも好きだし、主力にドラゴンを置いているところも好感を持てる。

MtGAを始める前に一度マジックに興味を持ったことがあったのだが、そのときの一大勢力にイゼットドレイクがいた。戦えるデッキかつ使用カードのレアリティが低いということで、入門者に人気があったようだ。あの頃のイゼットに憧れを持っているため、ここで一度イゼットカラーを触ってみてもいいだろう。

赤の火力と青の打ち消し、ドローというコンセプトは、対応力が高く私好みの戦術が取れる。現環境では既に猛威を振るっているデッキのひとつであるため、ローテーション後を見据えながら現環境で一足先に楽しむか、ローテーション後の新拡張まで含めてじっくり考えてワイルドカードの投入先を決めるか、その選択をじっくり時間をかけて決断したい。