第2回モダン杯 出場レポート
シニカケさん考案のモダン杯にお誘い頂き、参加してきた。カードプールが仁義なきガジェッツァン以前+コア・レガシーに指定された3H1Bコンクエスト形式のミニ大会だ。
当日はこちらのチャンネルで大会の模様が配信された。シニカケさんと三浦烏龍茶さんが実況解説を担当してくれている。
今回はこの大会について書いていく。
環境について
ガジェッツァン期の環境は、ハースストーンの長い歴史の中でもトップレベルに好きだった環境だ。
私の好きなプリースト専の配信者が、恐らく最も熱心にハースストーンに取り組んでいた時期であり、それに感化されて私も膨大な量の学習と実践を反復した環境だった。彼がドラゴンプリーストを使っていたため、私もドラゴンプリースト一本で戦った。
仁義なきガジェッツァンはクラーケン年最後の拡張で、カードプールが最大となるタイミングだった。次弾ウンゴロ発売に合わせて前年のカードがスタン落ちしたため、主力ドラゴンシナジーを擁するブラックロックマウンテンのカードが使えなくなり、ドラゴンプリーストの色はがらっと変わった。私はそれ以降のバリュータイプの方が得意ながら、それ以前のテンポに寄った型の方が好きだったため、多大な喪失感を覚えたことを記憶している。
クラーケン年末期の環境では、アグロシャーマン、海賊ウォリアーの2大アグロ勢力に対して、レノロック、レノメイジのコントロールデッキが睨みを利かせていた。これらコントロールデッキに強いミラクルローグや翡翠ドルイドも一定数おり、アグロシャーマンが頭ひとつ抜けているものの分かりやすい一強はいなかったように思う。
モダン杯環境では、長い年月を経たためにナーフされたカードが少なくない。これらは主要デッキに採用されていたカード群だ。
この他、シャーマンのヒーローパワーから怒れる大気のトーテムが出なくなったため、シャーマン全般も見た目以上に弱体化している。
デッキ選択
以上の環境考察も含め、デッキ選択へと移った。
私のハースストーン史上最も使い込んだデッキのひとつであるドラゴンプリーストの持ち込みは確定。相方にするデッキに頭を悩ませた。
テンポ型と言えど、ヒーローの特性やキーカードドラコニッド諜報員の役割上ゲームが長引きやすいため、ゲームレンジの遅いデッキを添えて速いデッキに対しバリュー勝負を挑む展開にしたかった。
ドラプリと同じくらい狂ったように回していたドラゴンウォリアーや翡翠ドルイドを持ち込みたい気持ちが強くあったのだが、ウォリアーは斧のナーフを重く見て、ドルイドはマナ加速の隙が大きくなりすぎたと判断し、どちらも採用を見送った。
となると、レノロック、レノメイジあたりが私の希望に合いそうなデッキとして浮かんでくる。どちらも特段ナーフされたカードがなく、使用感は当時のままのようだったが、いずれも高価なデッキで私は当時触れなかったため、練度面で一抹の不安があった。しかし、ワイルドで遊んでいた際新型のレノロック、レノメイジは触っていたため、基本的な動きは心得ているつもりだった。自分の応用力を信じ、今回はドラプリ、レノロック、レノメイジを持ち込むことに決めた。
ドラゴンプリーストは、当時見ていた配信者が使用していたものに少しチューニングを加えた。元は内なる炎に加えトワイライト・ドレイクを採用し、バーストを伸ばせる型だった。しかし、内なる炎はバフとしてもデバフとしても適切な対象となるミニオンが盤面に残っていないと機能せず、活躍する状況が限られるカードであるという印象が強かった。そのため、汎用性の高いカードに入れ替えたいという思いから採用を断念した。
ドラプリはレノロックに微不利がついているのだが、私としては是非とも勝ちたい相手だったので、対コントロール性能が上がるであろうロウゼブを採用した。
レノロックは、特に入れ替えたいカードもなかったため当時のリストをほとんどそのまま再現しているが、大会後改めてコアカードを確認したところ魂吸収があった。このタイプのデッキには欲しい一枚なので、ドブネズミあたりを抜いて採用すべきだったかもしれない。本番ではドブネズミがヨグサロンを抜くという大活躍を見せたため、抜くには惜しい気もした。
レノメイジに関しては、当時のプール外のカードとしてマッドサイエンティストを採用してある。個人的には魔法学者の方が好みなのだが、使用可能カード外だと思い込み採用候補から外してしまった。大会後にコアカードになっていたことを知ったため、おしゃべりな本あたりと入れ替えてよかった気がしている。
大会模様
対戦はスイスドロー形式ということで、負けても敗退せずに済む良心的なルールだった。久しぶりの大会だったため1回戦落ちも覚悟していたので、このルールはとてもありがたかった。
デッキリストは非公開制。不意を突くカードの採用が有効に機能するルールである。特殊なカードプール指定との相性がいいルールだと思う。
1マッチ目 2-0
シャーマン パラディン メイジ(BAN)
メイジはアグロではない気配がしたためBAN。こちらはウォーロックをBANされた。
プリーストとメイジで断末魔秘策パラディンを抜いて勝利。バフスペルを警戒していたが枚数は多くなかったようで助かった。
2マッチ目 2-0
ドラプリとメイジが不利なウォロをBAN。こちらはプリーストをBANされた。
ミラクルドルイドを2タテして勝利。魔力の巨人でプッシュし、マリゴスでフィニッシュを決める型のようだった。ヨグサロンも採用されており、長引かせていたら危なかった。
3マッチ目 2-1
お互いウォロをBAN。
この試合が今大会で最も手に汗握るゲームだった。不幸なことにドルイドが翡翠型で、プリもメイジも不利がついている相手だったのだ。
メイジドルどちらでもやれそうなプリーストから投げ、もっさりしたドルイドの隙につけ込んでビートダウンを完遂した。やはりマナ加速が遅れている影響は大きかった。
メイジミラーは同型だと思っていたが、蓋を開けてみれば相手は秘策型だった。完全に不意を突かれ敗北。
レノメイジvs翡翠ドルイドはガン不利マッチであるため負けを覚悟したが、ゴーレム展開の隙を突いてリーサル圏内まで押し込み、パイロブラストでジャストリーサルを決めた。最後のターンヒーローパワーを押されるか盤面をクリアされていたら火力が足りず負けていたため、リスト非公開制に救われたゲームとなった。
4マッチ目 2-0
ローグ シャーマン ドルイド(BAN)
不利な可能性の高いドルイドをBAN。こちらはウォーロックをBANされた。
プリーストとメイジでローグを2タテして勝利。仮想敵に危なげなく勝てた形となった。
相手のローグはウォーターローグで、ガジェッツァン環境末期に突然流行りだしたデッキだった。コントロールデッキに強いアグロローグの派生形として開発されたものだ。対戦経験は豊富にあったため、当時を思い出しながらゲームを展開した。
5マッチ目 2-0
ローグ シャーマン ウォーロック(BAN)
コントロール臭のするウォロをBAN。こちらはメイジをBANされた。
4マッチ目と同じくウォーターローグを2タテして勝利。
プリーストから投げたのだが、相手のプレイ次第では負けていた可能性がある。ドラゴンファイア・ポーションを警戒されなかったのと、往年のプリーストの傾向から多量の除去、回復があると読んだのか盤面のトレードを続けてくれたおかげでライフが減らずに済んだのが勝因だった。
総括
発見プールの影響もあり当時の完全な再現ではないものの、ハースストーンに熱中していた頃の環境でもう一度対戦できて非常に楽しかった。相棒のドラプリで存分に暴れることができ、大満足だ。
プールの確認を怠っていたせいで、採用可能性のあるカードを見逃していたことが悔やまれる。今後も特殊プール下での対戦会があれば、採用カードの吟味を入念に行いたい。
私は現在、日本hsコミュニティの一画に蔓延る執拗なネガキャンに嫌気がさし、このようなプレイヤーと同じゲームを触りたくないとの思いからこのゲームとの距離を空けている。彼らの主張は、以前は自分たちを楽しませることができていたのだから、ユーザーを楽しませる努力を怠らず現在の環境も(彼ら好みに)調整してほしい、というものだ。私はこの意見に同意できない。開発陣は、そもそもユーザーを楽しませることに全力を注いでいるわけではなく、自分たちの面白いと思った作品を広く受け入れてもらうためという前提の下コミュニティとの意見のすり合わせを行うのだと考えている。ユーザー側からそれを強要するのは図々しいと思っているし、ユーザー側が成すべき努力があるとも思う。いくら金を払っていたとしても、マナーの悪さが目に余る客に対して店側は退店を命じることがあるし、自分の口に合わない品が出てくることが分かっている店に敢えて通う客はそうそういないだろう。
私の考える成すべき努力のひとつが、今回の大会でも行われたプレイヤーによるカードプールの設定だ。現在定番となっているリミテッドと呼ばれる遊び方も、プレイヤー考案のルールが公式にサポートされ広く普及することになったらしい。自分たちが楽しめるルールを自分たちで制定するというのは、TCGでこそ容易だが、オンラインランダムマッチングがメインのDCGでは難しいように思える。これが可能な対戦形式が友人戦だ。
ハースストーンにおけるリミテッドモード、闘技場も、以前はスタンダードフォーマットのカードプール準拠だったが、最近では独自のプール設定に加え禁止カードが設定される事もある。禁止カードはドラフト時に候補から外されるだけで、発見などのカード生成のプールから除外されることはなかった。友人戦であれば闘技場で行われているような試みを構築に持ち込むこともできるし、気にくわなければカード生成効果を持つカードを軒並み禁止することもできる。楽しもうとする意欲があれば、環境を整えることは可能なのだ。
この遊び方をするのにネックとなり得るのが、同じ遊び方を希望するプレイヤーが必要なことだ。ニッチな需要ではあるが、同様の遊び方に興味のあるプレイヤーは少なからずいるようだ。加えて、今回のようにSNSで対戦会の参加者が募集されることもある。このような機会を有効に使えば、自分の理想に近い環境を再現することはそう難しくない。
前々から私も限定構築を考案してはいたのだが、参加メンバーが少なく頓挫している。楽しむ意欲があり、限定構築に興味のある方は声をかけてもらえると嬉しい。